神様と鬼ごっこ?鼻ダゴって? 島原の『風除祭』の魅力を語りたい

こんにちは、島原市地域おこし協力隊の田口です。

たぐち

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切子灯籠(きりことうろう)ってなんかいい……。

島原市の夏の終わりの風物詩、「風除祭(風除け祭)」に参加してまいりました!

島原の「風除祭」とは?

その名の通り、風除祭=「台風による被害がないことを祈願する」お祭り。

台風がよく発生する夏の終わり~初秋にかけて、島原市内の各神社で行われます。

お祭りの名前だけ聞くと厳格な印象を受けますが、地域住民にとっては季節の風物詩のような一大イベントらしいです。

2021年は縮小開催に

向かったのは、「湯江温泉神社」の風除け祭。

当日は雨予報だったのが一転、晴天に🌞

これも神の力なのでしょうか……。

湯江温泉神社。夏らしい青空が広がった。

2021年は新型コロナウイルスの影響により、神事のみの開催に。他の神社さんでも縮小して開催されるようです。(もしくは中止)

神事の様子
例年であれば神輿を担いで海に入る
「禊」の意味があるらしい

「鼻ダゴ」のインパクトは異常

この「風除け祭」に興味を持ったのは、お神輿の先導役をつとめる「鼻ダゴ(はなだご)さん」に衝撃を受けたからです。

八幡神社の鼻ダゴさん ※2021年は鼻ダゴさんの登場はないので、YouTubeから動画を拝借してます

・見た目
・佇まい
・放つオーラ

なんか漫画に出てきそうな強キャラ感がスゴい……(゜-゜)

この鼻ダゴさん、そのビジュアルもさることながら、行動がかなり攻めています。

▼鼻ダゴさんの基本行動
・子どもを見つけるとダッシュで追いかける
・捕まると顔に「へグロ」と呼ばれる炭を塗られる

……いや、シンプルに怖すぎる😨

ちなみに当日の鼻ダゴさん役は2人いるそうで、各地区の体力自慢がつとめることになります。

つまり、お祭りの日は『俊足の2神×子どもたち』という壮絶な鬼ごっこが繰り広げられることになります。世界は広しと言えど、この対戦カードはむちゃくちゃ珍しいのではないでしょうか……?

登場するエリア

実はこの『めっちゃ追いかけてくる鼻ダゴさん』、市内で行われる全ての「風除け祭」で見られるわけではなく、旧有明町の大三東地区にある『温泉神社&八幡神社』の2社だけで登場するようです。
(三会温泉神社にも追いかけてくる鼻ダゴさんの目撃情報アリ)

湯江温泉神社の風除け祭にも登場するそうですが、お神輿の前を静かに歩くだけで、大三東地区に比べるとかなり大人しい性格をしてらっしゃいます。

黒ダゴと白ダゴ

さらに、地区による着物の色の違いもあるようです。

  • 黒い着物・・・八幡神社
  • 白い着物・・・温泉神社

なので、僕は勝手にそれぞれを「黒ダゴさん」と「白ダゴさん」と呼んでいます。

ちなみに八幡神社のほうは髪の毛がややボサボサなので、おどろおどろしい感じが強めでインパクト大。

より確実に、ダイレクトに、子どもたちにトラウマを植え付けてくださいます。

黒ダゴさんはいる「八幡神社」も今年は神事のみ開催。
平日にもかかわらず、多くの方が集まっていた。

鼻ダゴさん=猿田彦大神=神様

では、この鼻ダゴさんは一体何者なのか?

その正体は、猿田彦神(さるたひこのかみ)=まさかの神様!!

日本神話の天孫降臨編で、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)の道案内をつとめたことから、神輿の先導役とされているようです。

猿田彦は鼻が非常に高かったことから、鼻ダゴさんが天狗のようなお面をつけていると推測できます。

八幡神社にある猿田彦の碑

へグロには厄除けの御利益があるそうなので、鼻ダゴさん=「めっちゃ良い神」のようです。人も、神も、見かけで判断しちゃいけないってことでしょうか……。

【⚠情報求ム⚠】
調べてもわからない謎が2つあります💦もしご存じの方がいらっしゃいましたら、コメントいただけると嬉しいですm(__)m

・鼻ダゴの「ダゴ」が何を意味するのか?
・なぜ「炭」を顔に塗るのか?(厄除けであることは確かだと思いますが、なぜ「炭」を用いるのか?)

「鼻ダゴネイティブ」に印象を聞いてみた

そんな鼻ダゴさんですが、地元で生まれ育った方はどのような印象をもっているのでしょうか?

子どものころに鼻ダゴさんと鬼ごっこを繰り広げた地元民数名にインタビューしてみました。

Mさん

・寝て起きて玄関を見ると鼻ダゴさんが立っていた。本当にトラウマもの……。

・当時は怖かったけど、大人になって考えてみれば、こうして地域独自の文化が残っていることに感謝

Oさん

・子どもながらに「神様」という認識はあった。高いところから鼻ダゴさんを見下ろしたら親から怒られた。

・捕まると鼻ダゴさんの子分となり、仲間が隠れている場所を教える密偵になっていた

・ちょっと怖いけど、年に一度の楽しみなイベントだった

Hさん

・小さい子どもは泣き叫ぶ

・(ご利益を願って)大人は自ら炭を塗られにいく

・地域住民にとっては年に一度の一大厄除けイベント

Nさん

・いかに逃走するかを本気で考えていた

・子供のころは本当に怖すぎた

・小学校の高学年になると怖さは和らぎ、「競争相手」というかんじ

お話を聞いた方から共通して感じたのは、「恐怖を感じつつつも、やっぱり楽しみなイベント」ということ。

子どもの頃を懐かしく思い出しながら、楽しそうに話す方が多かったのが印象的でした。

それだけ風除け祭は地域の人にとって親しみ深いイベントであり、鼻ダゴさんもそれを象徴する想い出のキャラクターなんだと思います。

「らしさ」を感じられるお祭りがある幸せ

今回は、夏の終わりに島原市内の各神社で行われる風除け祭について紹介してみました。

どうしても、インパクトが強い「鼻ダゴさん」に目が行きがち。

しかし地域の方と話すうちに、「各地区らしさ」があることこそ、このお祭りの本質的な価値のように感じてきました。

例えば、湯江温泉神社では「浮立(ふりゅう)」という伝統芸能の演舞を奉納するそうです。

戸田名千人浮立

正式に言うと、この地区の浮立は「戸田名千人浮立(とだみょうせんにんぶりゅう)」と呼ばれるそうで、賑やかなお祭りらしい音を響かせてくれます。

・戸田名→地区の名前
・千人→大勢の人で踊ることから

戸田名地区で毎年温泉神社の祭りに奉納されるもので、通称ヒヤーライコと呼ばれ親しまれている。もとは大名行列の名残で、日清戦争の凱旋祝に当時の青年男女が踊ったのが始まりといわれている。

半島の宝物:https://www.mlit.go.jp/crd/hanto/look_for/treasure/tr18_08.htm

つまり、「鼻ダゴさん」はあくまで地区らしさのひとつであり、それが他地区にもある……というイメージです。

風除け祭の「目的」は各地区で共通していますが、祭りの創り手のヒト・地域が変わってくるので、その「内容」が微妙に異なっているようです。おもしろい。

となると、なんだか他の風除祭も見てみたくなってしまいます🤔

来年は世間が落ち着きを取り戻し、例年通りの風除祭が見られることを祈ります😌

ではでは👋