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「ジオパーク」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
日本ジオパークネットワークの公式ページでは、「地質・地形から地球の過去を知り、未来を考えて、活動する場所」と定義されています。島原半島は全域がジオパーク認定をされており、火山と人との共生を体感できる場所です。
今回は島原のジオに精通しているモーリーこと森本さんに市内をガイドいただきました!
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ジオパークのパンフレットにも載っていないようなマニアックな場所多数!
👇今回のジオツアーで巡ったマップ👇
流死菩提供養塔(三会)
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1792年に発生した普賢岳の噴火活動。
その際に頻発した火山性地震により、島原市のシンボルでもある「眉山(まゆやま)」が崩壊し、大量の土砂が海に流れ込み津波が発生。約1万5,000人もの人々の命を奪いました。(島原大変・肥後迷惑)
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「流死菩提供養塔」は島原大変・肥後迷惑で犠牲となった方々を供養するために建てられたものです。
島原半島の各地で見られ、とくに三会地区の流死菩提供養塔は、当時の島原藩によって建てられました。
供養塔の石材には雲仙火山から噴出したデイサイトが使われています。
焼山
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焼山は1792年に発生した普賢岳の噴火活動で溶岩流が流れた場所です。登山道を歩くこと15分弱で到着できるのが「一枚岩」。
その名の通り、溶岩でできた大きな一枚の岩から絶景が楽しめます!
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一枚岩からは※普賢岳の平成噴火の痕跡を観察できます。(※1990年11月から1995年2月まで続いた雲仙岳の噴火活動。死者41人、行方不明3人を出した。)
千本木地区を襲った火砕流、そしてその目と鼻の先には島原の町並みがあります。火山と人がものすごく近い距離感にあることがよくわかる風景です。
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浜の川湧水
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火山は災害だけではなく、豊かな恩恵も住民に与えてくれます。
市内の至るところで見られる湧水はその恩恵のひとつ。浜の川湧水は観光地としても有名な場所ですが、1792年の眉山の崩壊による土砂で海が埋め立てられなければ、陸上で湧出しませんでした。
ジオ的な目線でも要注目な場所なんです!
ボラ供養塔
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有明海の干満差を活かした漁法、スクイ(石干見)。
※スクイについては本ブログ別記事で紹介してます👇
1881年、島原有明町のスクイにボラの大群が入り、1夜にして大金持ちになった「ぼらどん」こと松本さんが感謝の気持ちとボラの供養のために、この碑を建てました。
スクイをつくるのに必要な石材が豊富にあったのは、まさに火山の恩恵と言えます。
御手水湧水
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三会地区の旧道沿い(島原街道)にあるのが、御手水湧水(おちょうずゆうすい)。以前は島原城を行き来するお殿様や旧道を往来した人々に憩いの場所を提供していたと思われます。
浜の川湧水のように区画分けされており、住民の方の生活にも密接に関わっていたことがわかります。
島原鉄道が通る線路ギリギリのところにあるので、ちょっとコワイですね・・・(笑)
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蛭子神社
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沿岸部にある蛭子神社。
日本神話に登場する「蛭子」の話は一種のサクセスストーリーでもあります。足が立たなかったので海に流されてしまった不遇な神様ですが、その後「恵比寿様」として崇められるようにまで成り上がりました。
そんな蛭子神社からの景色にも要注目!ここからは、まさに火山と人との共生を見ることができるんです!
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右手奥から手前に、眉山・町・海が並ぶ
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多くの犠牲者を出した眉山の大崩壊。
しかしそれでも人々は島原に住み続ける【共生の道】を選びました。
それは火山が人々にあたえる恩恵が大きかったから。
眉山が崩れたことで新たに人が住める陸地が生まれ、そこに湧水が湧き、そして海には豊かな漁場が形成されました。
山・町(人)・海。
蛭子神社からはそれらの様子を一目で見ることができます!
といったかんじで、モーリー先生のジオツアー(マニアック版)が終了!
知る人ぞ知る「隠れジオ」が目白押しでした😌
ジオに関心がある方だけでなく、島原を深堀りしたい方にもおすすめです!
番外編その1:ミニチュア治山ダム
ここからは番外編としてモーリー先生が案内してくれた超マニアックなスポットをご紹介!
ジオというより島原市内にある一風変わったスポットです。
島原住民ですら知らない?一風変わった場所を2つピックアップします!
まず一つ目が眉山の麓にあるミニチュア治山ダム。
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眉山の麓(島原運動公園の山手側)にあるミニチュア治山ダム。いろんな形のミニチュア治山ダムを間近で観察できます。
構造物マニアなら必見の隠れたスポットです!
国内有数の治山が難しい眉山を象徴する場所でもあります。
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夏は草が生い茂りミニチュア治山ダムの全体が見えにくいので、ちょっと寒いですが冬のほうがオススメです。
番外編その2:中原神社(馬頭観音神社)
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三会地区にある中原神社(馬頭観音神社)。
見ての通り、馬・馬・馬!
境内はまさに馬尽くしのちょっと変わった神社です。
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気になるのは、なんで「馬」が祀られているの?ってことですよね。
中原神社(馬頭観音神社)がある三会地区は、かつては馬の飼育が盛んで、産地として知られていました。また、農業が盛んな地区でもあるので、農耕馬や荷物の運搬としても馬が活躍していたそうです。
住民の生活と密接に関わっていた馬に感謝の気持ちをもって神社に祀られているようです。
小学生向けのジオ学習で中原神社をガイドすることもありますが、その時は境内の馬を数えたりしています(笑)
といったかんじで今回はモーリー先生によるマニアックなガイドを紹介してみました。
どれもこれもマニアックな場所がてんこ盛り!
実際に現地で感じられることはいっぱいあります。ぜひそれぞれの場所に足を運んでみてください👍
ではでは~👐