島原に住む「Iターン民」とお話する企画『YOUは何しに島原へ?』。
第3弾は社会福祉法人コスモス会正健で働く阿部さん。
その希少性の高さから“まぼろし”とされる「島原茶」の普及のみならず、新鮮な海の幸を味わえる「とっとっと食堂」の運営責任者として活躍されています。
▼「島原茶」はこちらの記事で紹介してます〜😌
▶佐賀県嬉野市出身
▶2015年に島原へ移住
▶1965年生まれの56歳
▶ゴルフ、釣り、松山英樹が好き
▶座右の銘:『ありがとう』
一見すると冷静そうな雰囲気を持つ阿部さん。しかし、その内側にはヤケドしちゃいそうな『情熱』を秘めています。
約10年間の百貨店勤め
阿部さんは長崎県外のご出身なんですよね。島原に住むまでは、どんなお仕事をされてたんですか?
もともとは佐賀県嬉野市出身です。
福岡の大学を卒業後、佐賀の百貨店に就職しました。
なんか周りに若い女性が多そうで羨ましい🤔
いやいや、それが悩みの種で(笑)
バリバリのキャリアウーマンの上司にしごかれる日々でした。女性用のランジェリーファンデーションコーナーに異動になると、仲間からイジられたり……。
大変だったけど「女性免疫」は鍛えられたかな(笑)
それはそれで羨ましいです笑
バブルで売上は右肩上がりだったんですが、その分ノルマもすごくてね。
苦労もしましたが、今の仕事でも活きている「接客スキル」は百貨店時代があったからこそだと思ってます。
家業でもあった「お茶業界」へ
その後はどんなお仕事を?
30歳を過ぎた頃、父が経営していたお茶作りの機械メーカーを継ぐことになったんだけど、これがまたとんでもなくてね(笑)
子供の頃、仕事で父はほとんど家にいなかったので、顔すら覚えていなくて。
なんとなく大変な仕事なんだろうな、とは思っていたのですが……。
父親の顔を覚えていない!?
そんなことあるんですね・・・。
ばあちゃんに「さっき家に来てたおじさん誰?」って聞いたら、それが父親だったからね……。
かなり激務だったんですね💦
でもお父さんの仕事ぶりは、男としてはカッコよくも見えちゃいます。
まさかの感電事件
仕事内容としては、どのあたりが大変だったんでしょう?
・機械の名前も使い方も分からない
・方言についていけない
・親のコネで「役職付き」で入社
古株に良く思われるわけがないですよね。「何も知らん奴がなんば言いよっとや!」ってね。
四面楚歌はつらい。。。
ある機械の修理現場で「2時間やるから早く直せ」って言われたことがあって。こっちは機械の使い方がわからないまま「何とかしないと」と必死にやるわけですよ。
頑張って機械をいじっていたら、いきなりバチーン!って感電して。
思い返せば、よく生きてたな……。
命がけすぎる……。
でもそういった大変な経験をしたからこそ、自分の血肉になったことはたくさんあってね。
「小さなことで悩んでる暇は無い、問題があったらまずは分析しろ」と思えるようになりました。悩んでるだけだったら、何も前に進まないからね。
島原茶に注ぐ情熱
「有機栽培」が移住のきっかけに
その後、なぜ島原へ移り住むことになったのでしょう?
島原には、定期的にお茶作り用機械のメンテナンスで来ていました。
そこで取引先だった今の会社(コスモス会)から、「どうしても『究極の有機栽培』のお茶を作りたい。力ば貸してくれんね?」と相談されて。
島原への移住理由は「お茶の有機栽培に全力を注ぐため」。
これが決め手でした。
そんなに有機栽培のハードルって高いんですか?
最初に有機栽培をやると聞いたとき、「絶対ムリ!」と思っていました。有機栽培では、お茶の量が収穫できないし、美味しくないし、儲けが出ないと定説になっています。
なぜそんなに難しいんですか?
【農薬を使用しない=人の手で除草する必要がある】ということなので、かなり労力がかかるんです。
コスモス会の場合、障害を持たれている利用者さんと職員の協力があってやっと実現できているんですよ。
そこまでして無農薬を実現したかったんですね。
実は以前から島原でも「無農薬」で栽培してはいたんですよ。ただ、味と品質が安定していなかったんです。
だから実際に大変だったのは、無農薬栽培を証明する『有機JASマーク』の審査を通すことでした。
※島原茶は平成28年に取得
有機JAS認定まで受けているところは、全国でも本当に一握りなんです。
「本気で有機をやりたい」ということだったので、自分も何か役に立てればと思って。
だから移住までして挑戦を……。阿部さんのハンパない覚悟を感じます。
島原から「安心・安全の有機無農薬茶」を
今後の島原茶の目標について知りたいです。
「安心・安全な有機無農薬茶の島原茶を全国のお客様へ届け、感動してもらうこと」です!
全国……ですか!
夢が広がりますね😯
障害を持たれている利用者さんと職員1人1人の手で膨大な時間をかけて草を取り、ようやく収穫できるようになった「有機無農薬の島原茶を」をもっと多くのお客様へ知っていただきたい。
果てしない『お茶ロマン』を感じます🤔
『とっとっと食堂』の責任者も兼務
阿部さんは「とっとっと食堂」の運営責任者もされてるんですよね。
コスモス会の利用者さんの「就労支援B型」として運営することになってから、運営責任者をやってくれという打診があって。しかも引き継ぎ期間は半月くらい(笑)。
接客業をしていたのも何十年も前の話なので、不安もありましたけど……。すぐに引き受けました。
改善を進めてきた甲斐もあって、最高で280人/日以上のお客さまがご来店くださったこともあります。
海鮮丼めっちゃうまいですもんね〜!
個人的には「きゃーめ(エイの仲間)」など、有明海らしい魚を使っているのが好きなポイントです。
今はコロナウイルスの影響もあって、踏ん張りどころでもあります。
島原茶と平行して、全国のお客様へ「感動」を与えられる食事処にするのが目標です。
今回は「島原茶」がきっかけとなり、島原に移住した阿部さんにお話をうかがいました。
個人的に阿部さんを一言で表すと、「島原茶に対する情熱がハンパない仕事人」。
これからも阿部さんの挑戦は続きます。